2020.07.06

いい油と悪い油のおはなし

食事をするときに、多くの方が気にされるであろう「油」

お肌にも体にもあまりよくなさそうだし、
カロリーが高いイメージがあるから積極的には摂らない。という方も多いのではないでしょうか?

最近は、アマニ油とかエゴマ油が良いって聞くこともあるけれど、何がどう体に良いのかはイマイチわからない…

そんな「油」に関するモヤモヤを、今回も長谷川舞さんにお答えいただきます♪
正しい知識をもって食事に取り入れていきましょう!

油ってなあに?

脂質、油、油脂、脂肪いろんな言葉がありますね。油って一体なんなのでしょう。

油は、水には解けない性質を持ち、グリセリンという物質に脂肪酸というものがくっついてできています。この脂肪酸の違いで、性質や体内での働きが変わってきます。

油脂という言葉は、油は常温で液体のもの、脂は常温で個体のものを指しています。栄養学では、脂質という言葉を使うことが一般的です。脂質には、他にもいろいろな種類のものがあるのですが、今回は普段食べている油脂についてお話ししますね。

身体に良いの?悪いの?


皆さんは、油や脂質という言葉から何を連想しますか?
身体に良いイメージですか?それとも悪いイメージでしょうか。

脂質は、とりすぎると肥満につながってしまいますし、動脈硬化や心疾患をはじめとし、様々な病気の原因にもなってしまいます。しかし、不足しすぎると髪や肌の乾燥や便秘、集中力の欠如や冷え性の原因にもなってしまいます。また、ビタミンA、E、Dなどの脂溶性ビタミンの吸収には油が欠かせませんし、ホルモンや細胞膜の原料になるのも脂質です。

脂質は、たんぱく質や炭水化物に比べて、1gあたりのエネルギー量が高いです。人間の生命維持にはエネルギーが必要なので、少量でたくさんのエネルギーのとれる油脂を食べると美味しい!と脳が感じるのです。

脂肪酸ってなあに?

脂肪酸は、炭素、水素、酸素の原子が組み合わせって出来ています。

脂肪酸には、飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の4種類があります。

飽和脂肪酸は、炭素の間の二重結合がなく、常温で固体のものが多いので、
動物性の脂質に多く含まれています。植物油でも、ココナッツオイルやパームオイルには飽和脂肪酸が多く含まれています。
飽和脂肪酸は、酸化しにくいですが、摂りすぎると血液中の中性脂肪やコレステロール上昇や肥満につながりやすい脂肪酸です。

一価不飽和脂肪酸は、炭素の間に2重結合が1つだけある脂肪酸です。具体的にはオレイン酸という脂肪酸がこれにあたり、オリーブオイルや菜種油、アーモンドなどに多く含まれています。

多価不飽和脂肪酸は、炭素の間に2つ以上の2重結合のある脂肪酸です。多価不飽和脂肪酸は、青魚やアマニ油、えごま油、大豆油、ナッツなどに多く含まれていますが、これらは人間の体内では作ることができず、食べ物から摂取する必要のある脂肪酸です。

トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸に水素を加えて加工したり、熱を加えたりした時にできます。トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングなどの加工油に多く含まれていることがあります。トランス脂肪酸は、心疾患を引き起こすなど身体にとって良くない影響を与える可能性が高いと言われています。

必須脂肪酸のおはなし

脂肪酸の中には、人間が身体の中で作ることのできる脂肪酸と作ることのできない脂肪酸があります。人間が身体の中で作ることができない脂肪酸は、食べ物から摂取しなくてはなりません。それを必須脂肪酸といいます。

必須脂肪酸は多価不飽和脂肪酸で、n3系(オメガ3)とn6系(オメガ6)の2種類があります。n3系(オメガ3)には、アマニ油やえごま油に多く含まれるα~リノレン酸や青魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などがあります。α~リノレン酸は体内で代謝されEPAやDHAになります。n6系(オメガ6)には、コーン油、大豆油などに多く含まれているリノール酸やアラキドン酸などがあります。

日本人の食事では、n6系の脂肪酸は過剰摂取の傾向があり、n3系の脂肪酸は不足している傾向があります。

身体に良い油と悪い油

脂質は、適量は身体に必要で、良いところも悪いところもあることをお話ししましたが、油には身体に良い油と悪い油があります。

不飽和脂肪酸は、身体に良い油で、HDL(善玉)コレステロールを増やしたり、LDL(悪玉)コレステロールを減らしたり、心疾患のリスクを減らしたりする機能があると言われています。特にn3系の油には、肌や髪を美しく保ったり、血行を良くしたり、脳の発育を助けたりする機能もあります。

一方、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は身体に悪い油で、血中の中性脂肪やコレステロールを増やしたり、動脈硬化や心疾患のリスクをあげたりすると言われています。

油は、熱・光・酸素に弱く、そのような要素に長い時間晒されていると劣化し、酸化した油になってしまいます。酸化した油はどんな油であっても身体に悪い油になってしまっています。酸化した油は、色や匂い・味も悪くなりますし、栄養価も低下してしまいます。長く加熱されている油や調理後時間のたった油は酸化している可能性が高いので気を付けましょう。また、匂いや味が変だと思ったら食べるのをやめましょう。

また、いくら身体に良い油であっても、摂りすぎは肥満の元になります。適量をうまくとるようにしましょう。

これを摂ろう!これは避けよう!こんな風に使おう!

今までのお話で、どんな油を摂って、どんな油を避ければ良いのかお分かりかとは思いますが、具体的には、どんな油は積極的に摂った方が良い脂で、どんな油は出来るだけ避けた方が良い油なのかです。

積極的に摂りたい油は、青魚の油やアマニ油、えごま油、オリーブオイル、菜種油、ごま油、大豆油などです。

n3系(オメガ3)が豊富に含まれるアマニ油やえごま油は身体にとても良い油ですが、とても高価ですし、不安定で熱に弱いので、サラダのドレッシングに使ったり、スープの仕上げに垂らしたりして使いましょう。

炒め物や揚げ物などには、ピュアオリーブオイルや菜種油、大豆油などを使い、調理後はできるだけ早く食べるようにしましょう。

できるだけ避けたい油は、バターやラードなどの動物性の脂です。これらの油は、普通に食事をしていたら、食品からもたくさんとれるので、不足することはまずありません。そのため、食事以外から余分に摂ることはできるだけ避けたいですね。また、油で揚げているスナック菓子やインスタントラーメンに含まれている可能性のあるトランス脂肪酸もできるだけ避けたい油です。

酸化しにくい油でも加熱や光、酸素によって酸化してしまうので、どんな油でも出来るだけ少量ずつ購入し、光の当たらない冷しいとことで保管し、開封後は早めに使い切るようにしましょう。

油の摂りすぎはよくありませんが、必要以上に避けることもありません。バランスをとりながら、上手に油を食べるようにしましょう。

 

この記事を書いたのは
管理栄養士・フードデザイナー
長谷川 舞さん
管理栄養士・フードデザイナー<br>長谷川 舞さん<br>

管理栄養士・フードデザイナー。 大学卒業後、愛知県内の病院で管理栄養士として栄養指導や献立作成などに従事。 また、児童館などでの離乳食講座や食育講座、子ども向けの料理教室、お料理イベントやケータリングなども行い栄養士として幅広く活躍していた。 2014年の夏にベトナムに移住。1年ほど飲食店で働き、独立。 現在は、ホーチミンを中心に料理教室や食事相談、ダイエットサポートなどを行っている。また、幼稚園での食育活動、病院での栄養指導、飲食店などでのメニュー開発や調理指導も行っている。 『食で健康・食で幸せ』をモットーに可愛くて楽し食卓作りがモットー♪

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